みなさんこんにちは。文系女子SEのほりごたつ(@horigotatsuSE)です。
と思ったりしませんか?
私は今でこそSEですが、もともとは文学部で日本語学を専攻していました。
正直、日本語学なんて就活では役に立ちません。
ですが私はそれでも文系学部は必要だと思っています。
それはなぜなのか。文学部卒の観点でお伝えしていきます。
この記事の信頼性
私は文学部で日本語学を専攻し、現在はSEとして勤務しています。
SEとしても活躍できるようになってきた視点から、文系学部の重要性をお伝えしていきたいと思います。
文系はいらない、とは思わない理由
冒頭でも述べた通り、私自身は文系学部は必要だと思っています。
それはなぜか、簡単にまとめると以下の通りです。
文系学部は必要だと思う理由
・「今、ここ」を捉えるために必要だから
・職業的意義がすべてではないから
文系学部は「今、ここ」を捉えるために必要
例えば、歴史や日本語の文法など、ぱっと見役に立たなそうなものを義務教育で学ぶのはなぜでしょうか。
それは「今、ここ」を捉えるために必要だからです。
中学校の社会科を思い出してください。
中学の社会科
1~2年 :地理・歴史
3年 :公民
このように、地理や歴史を学んだあとに公民を習った記憶はないでしょうか。
このような順で学ぶ理由は、
地理(「ここ」以外)と歴史(「今」以外)を学ぶことで「今、ここ」を捉えられるからです。
そして、「今、ここ」以外を知ったうえで、
公民という「今、ここ」にあたる社会を学ぶことが現代社会の問題や課題を捉えることにつながるのです。
記憶に新しい話では、
鎌倉幕府ができた年が「1192年」から「1185年」という新しい説が有力視され、教科書も該当部分が変わったという話を聞いたことがあるでしょう。
「そんな昔のことどーでもいい」と思う人もいるかもしれませんが、
今になってもなお歴史が新しく捉え直されている裏には歴史学者の努力が感じられますよね。
昔のことなのに捉え直す理由は、現代の問題や課題の裏にはその歴史があったからです。
では一方、国語の文法はどうでしょうか。
「今使ってるのにわざわざ文法習う必要ない」と思うかもしれませんが、
文法を教わらなければ
- ら抜き言葉など現代の日本語の問題が議論されない
- いつしか「今」使われている言葉が「古文」になったら今の文学は読んでもらえなくなる
などの問題が起こりかねません。
「今、ここ」の日本語をきちんととらえておくことが、将来の日本語につながるといえますね。
様々なものを見聞きし、論理的に考え、自分で表現し、伝える。
リテラシーという言葉が話題になっているこのご時世ですが、そのリテラシーを形成するものは国語です。
そして、その国語を正確に学ぶためには国語研究の成果が必要といえます。
まとめると以下の通りです。
「今、ここ」を捉えることが
・ 現代の子どもたちが確かな教育を受けること
・ 「今」を将来に語り継ぐことにつながる。文系学部の研究はそのために必要。
職業的意義がすべてではない
そしてもう1つ、文系学部が要らないとは思わない理由が、
「職業的意義がすべてではない」ということ。
大学は職業訓練校ではありません。
そこに研究があり、その研究の在り方を学び、実際に研究する。
これを実現できるのが大学です。
- 将来なりたい職業があり、そのために大学に行く
- 純粋に研究したい学問があり、そのために大学に行く
- 将来なりたいものが何もないので、それを見つけるための幅広い知見を得たくて大学に行く
大学に行きたいと思う理由も人それぞれでしょうし、
いかなる理由でも、それに対してあれこれ言うのは違うかな、と思います。
と私自身も言われたことがありますが、大きなお世話だなぁと。
将来活かせるかどうかだけで要否を結論づけるのは尚早だと思います。
文系学部の学びが役立った瞬間
さて、ここまで文系学部の必要性をお伝えしてきました。
前述の通り、
職業的意義を求めて文学部へ行ったわけではないのですが、
それでも文学部で研究する中で得たスキルが役に立ったこともありました。
文系学部で得たスキル
・論理的に批判点を見つける力
・それを解決するために必要な提案力
論理的に批判点を見つける力
SEとして仕事する中で、「レビュー」力は欠かせません。
このレビューをする際に、
文系学部で研究していた頃の成果が出たかな、と感じています。
大学の研究は以下の流れで進みます。
①まずは研究したい分野について論文を読み、ここまでの研究としてどのようなものが行われてきたのかを把握
②ここまでの研究を知ったうえで、今後どのような研究をしなければいけないかを考える
③過去の論文・研究に対して問題点を指摘した上で、それを解決するための視点を提示して論じる
それほど理系の人がやっていることと変わらないと思います。
そう、研究で行っていた「過去の研究に問題点を指摘」するところが
まさしく今の仕事のレビューと同じなんですね。
正直これは文系学部ならではの学びというわけでもありませんが、
文系でも理系と同じく過去の研究を知り、それをさらに発展させた研究が必要という点では変わらないということです。
解決するために必要な提案力
以前の記事で、今は改善提案なども行っていることをお伝えしました。
どんなにわかりやすいプレゼン力があったとしても、
- 「今はこんな問題がある」ということと
- 「それを解決するためにはどうすればいいか」ということを
簡潔に伝えられなければ提案としてはアウトです。
① 過去の研究で日本語の複合語を数値化して客観的にその結びつきを研究している文献があった
② ただし過去の研究では、量の問題もあり「あ」行しか確認していなかった
③ 今回の研究では(力技で日本国語大辞典全量を漁り)「わ」行まですべてを確認する
まあ簡単にいうと力技なのですが、
① 今の研究はどうなのか
② その問題点は何なのか
③ 今回はどう解決するのか
が明確ではないかと思います。
これを現在の仕事で活かすとこうなります。
これは以前私が顧客提案してきた際の提案内容です。
① 現在、何百万件という大量件数を処理するシステムがある
② だが、今の処理件数なら問題ないものの、ループ上ムダな処理があり、将来的にシステムの遅さが問題になる可能性がある
③ 今回の対応でムダなループ処理をなくすことで、将来のシステム遅延を防ぐ
① 今がどうなのか
② その問題は何なのか
③ どう解決するのか
がきちんと伝わると、「やるべき内容」であることが伝わりやすくなります。
そう、文系学部だって捨てたものではないのです。
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