みなさんこんにちは。文系女子SEのほりごたつ(@horigotatsuSE)です。
と疑問に思ったりしませんか?
私はSIerに勤務しており、
普段は客先常駐で働いているSEです。
働いている身としては別に客先常駐も自社での開発もあまり変わりない印象ですが
みたいな声がSNSで広まってきているのも事実。
そこで今回は、客先常駐とは何なのか、何がやめとけと言われる理由なのかについてお伝えしていきます!
この記事の信頼性
私は文系未経験ながらSEになり、
現在では客先常駐の現場で開発責任者も任されています。
今回は客先常駐のSIerとして、
客先常駐の現場目線でお伝えできればと思います。
客先常駐とは
ではさっそく、「そもそも客先常駐って何?」というところから。
客先常駐SIerの実態
現在、私は元請けのSIerに勤務していますが、
顧客との関係を図にすると以下の通りです。
このように
- お客様から仕事を頂き
- お客様に「システム」を納品
することで我々はおカネをいただいているわけですね。
そして上記の図の中にある「SES企業」は
- 我々SIerが発注し
- 我々に「働いた時間」を提供する
ことでおカネを得ています。
▼SES企業って何ぞや?と思った方はコチラの記事も読んでみてください
客先常駐とは
お客様・SIer・SES含めて同じビルにいる
といったイメージでよいと思います。
お客様のビルにずっといるから客先常駐なんだね!
客先常駐をする理由
私が現在勤務しているSIerの会社ですが、
部署によっては自社ビルで開発しているところもあります。
割合としては3:7くらいで客先常駐が多いかな・・・
では、なぜ客先常駐が必要なのでしょうか。
客先常駐する理由
①環境の問題
開発をするために必要な「開発環境」を使うための権限が客先以外では整わないことがある
②情報流出の問題
「開発環境」を仮にSIerが自社ビルで使えるようにする場合、
開発環境にアクセスできる権限を緩和したり、アクセスできるようにネットワークをつなぎ直したりする必要がある
→情報流出のおそれが高まる
1つめは開発をするための環境が整わない可能性があること。
これはややSEの開発寄りになってしまうので難しい話は省きますが、
プログラムを組んだりするために必要な材料が自社ビルでは揃わない、と思っていただければ十分です。
だから客先に常駐することが必要なんだね
主に問題なのは2つめの「情報流出の問題」。
たとえば我々はお客様の「新商品発売に伴う開発」など
機密情報を扱うような開発も行ったりします。
例えば
- 新商品がどんな商品なのか
- そのためにどんな開発が必要なのか
などの書類を扱うこともあるのですが、
それを違うビル間でやりとりすればその分流出の危険性も高まりますよね。
だから同じビル内で完結させたい
そのために客先常駐をしていることが多いです。
客先常駐はやばい、は勘違い
さて、ここからは私が常々思っている
客先常駐の捉え方が違うかも・・・
という違和感についてお伝えしていきます。
客先常駐=SESという世間の認識は誤り
よく言われているのは
という内容。
ですが、客先常駐=SESではありません。
先ほどの図をもう一度見てみましょう。
SES企業は、
我々SIerの現場に常駐して仕事をしています。
SESって何?という方のために軽くお伝えしますね。
契約形態
①請負契約(我々SIerは基本的にコチラ)
目的 成果物の完成
責任 完成責任・瑕疵担保責任
著作権 受託者
→「成果物」を完成させることでオカネをもらう
②準委任契約(SES契約)(SES企業はコチラ)
目的 仕事の遂行
義務 報告義務・善管注意義務
著作権 委託者
→「サービスを提供」することでオカネをもらう
我々SIerがお客様から受注する場合は
基本的にシステムを納めることでおカネをもらう「請負契約」であるのに対し、
SES企業が我々SIerから受注する場合は
働いた時間に応じておカネをもらう契約となります。
これが「SES契約」です。
まとめると以下の通りとなります。
SES企業の仕事の流れ
・SIer企業(元請負)とSES契約(働いた時間に応じておカネをもらう契約)を結ぶ
・契約を結んだあとはSIer企業の指示に従って作業遂行
・働いた時間に応じてSIer企業からおカネをもらう
つまり、SES企業=我々SIerの現場に常駐して働く
というスタイルということです。
そしたら客先常駐=SESという認識でいいのでは、と思うかもだけど
冒頭に述べた通り、我々元請SIerも
お客様の都合(情報流出のリスクを防ぐため)に客先常駐する場合があります。
そのため、
SES=客先常駐ではあっても
客先常駐=SESではないのです。
客先常駐はやばいとなぜ言われているのか
前述の通り、SES契約の場合は著作権が我々SIerとなること、
我々SIerの作業指示に沿って働くことから
派遣のような働き方となります。
そしてSES=ブラック、みたいなイメージになるんだね・・・
そして
SES=ブラック、から
客先常駐=ブラック、みたいなイメージにつながったのだと思います。
▼SESって本当にブラックなの?という記事はコチラから
ですが前述の通り、
開発時の事情や情報流出リスクなどの理由で客先常駐しているSIer(SESでない企業)もあります。
下請SIerでなく、元請SIerでもお客様の都合で客先常駐せざるを得ないのは同じです。
そのため、
一概に客先常駐=ブラック、と言ってしまうのは違うと思っています。
客先常駐は個人的にはラクで良い
最後に、
客先常駐している身として、客先常駐がどうなのかというと
一言でいうと「ラク」です。
ちょっとした打ち合わせもすぐできるし
お客様が身近にいることで
システムの品質低下の原因にもなる「認識ズレ」なども引き起こしにくく
開発環境としては良いと思っています。
また、一応客先常駐でも
我々SIerはSIer会社内の企業秘密も持っているので
それが流れないようにそもそもお客様とはフロアが別だったりと
きちんと配慮されたうえで客先常駐しています。
だから同じビルだからとお客様に常に監視されているわけでもないし
世間のイメージよりは快適なのかなという印象です。
自社ビルにはない社食を楽しめたり(笑)
とはいえ、客先常駐も世間の認識通り改善の余地ありなところもありますし、
SESがすべてブラックなわけでもありません。
大切なのは自分で状況を見極めることかなと思います。
というわけで、今回は客先常駐について
現場の実態からお伝えしました。
SE業界が気になるならコチラの記事もオススメ!
プロジェクトマネージャー(PM)とは?開発責任者の私がどうやったらなれるか考えてみた
COBOL(コボル)の需要はない?現役COBOL開発者がCOBOL需要を解説
SE(システムエンジニア)は女性でもやっていけるの?現役女性SEのホンネ