「AI崩壊(坂口倫太郎)」【文学部卒SEの書評】

「AI崩壊(坂口倫太郎)」【文学部卒SEの書評】

みなさんこんにちは。文系女子SEのほりごたつ(@horigotatsuSE)です。

今回紹介する1冊はコチラ。

今回ははじめて小説の書評となります。

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来年公開される映画の小説版!

以前もAIについての本を紹介しました。

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AIに奪われない仕事をするための思考力とは!「入門『地頭力を鍛える』32のキーワードで学ぶ思考法(細谷功)」

前回紹介した本は

AIができる仕事と人間ができる仕事を対立的に説明し、

これから人間が身につけていくべき思考力について論じていました。

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今回紹介する本は。。?

今から10年後、AIに仕事が奪われていき

生活の多くをAIに管理されるようになった社会を描いています。

「AI崩壊」あらすじ(ネタばれなし)

まずは裏表紙に記載のあらすじをご紹介しますね。

2030年、日本は投薬、治療、体調管理までを担う画期的なAI「のぞみ」に社会を委ねていた。

しかしその理想的な世界が一転、何者かに暴走させられたAIはついに命の選別を始める。

止められるのは警察に追われる天才科学者、桐生浩介。

限られた時間の中で国民の命は守れるのか。

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医療系をAIに任せるようになった社会の話なんだね

AI vs 人間 という構図

この小説の中には、二つの二項対立があります。

1つめは

人間を信じる人間 と AIを信じる人間

2つめは

人間を尊重するAI と 人間を監視するAI

いずれにしても、AIと人間が対立的に描かれているのが

この作品の主題のように感じました。

 

AIに社会を委ねた世の中でのAIの暴走。

社会が混乱するのは言うまでもありません。

小説の中で描かれていたシーンをいくつかご紹介します。

・AIに自動運転をさせていた車が暴走、事故が多発

・ペースメーカーをAIに管理させていた老人が倒れる

・AIが管理していたセキュリティが暴走しサーバルームに人が閉じ込められる

などなど。

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恐ろしい。

AIに任せられる範疇を超えてAIにすべてを委ねてしまったがために

取り返しのつかない事態に陥ってしまうのです。

 

そんな取り返しの事態を引き起こしたのも人間。

そんな事態を止められるのも人間。

AIにすべてを委ねているのに、事件の発端と解決は人間というところが

この小説の皮肉的なところです。

「AI崩壊」をSEが解釈~小説ほど社会は変わらない~

読んで思うことは

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さすがに10年でこんなに社会は変わらないのでは?

ということ。

現在システムエンジニアとして働いている私が、

これから10年で人間の生活はここまでAIに支配されない

と思う理由を解説します。

開発側が追い付かない

残念ながら、これだけAIが叫ばれているものの、

システムの現場では

まだまだCOBOLなどによってシステムが構築されているところは多いです。

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Pythonの流行とかも耳にするけど。。

汎用機メインで構築されたシステムを

javaを中心としたサーバ基盤へ移行する動きが高まってはいるものの

まだまだ完全移行には至りません。

その理由は一言でいうと

一度に大胆な刷新はリスクが高すぎる から。

 

以前の記事で詳細を記載しています。

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COBOL(コボル)はもう化石?ホスト開発現場の実態

 

開発にすらまだまだ最新技術を取り入れられない現在の状況を踏まえると、

まだまだAIにすべてを委ねる社会の到来はこない気がします。

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体調管理よりも今の仕事の効率化にAIを。。笑

システムに「絶対」はない

だれしも

・ゲームやアプリが急に落ちた

・サイトにアクセスしようとしたらメンテナンス中だった

などなど、システムが「使えない」瞬間を

目にしたことがあるのではないでしょうか。

 

もちろんシステムにはメンテナンスも必要ですし、

何より残念ながら、SEとして言わせてもらうと

出荷後欠陥発生率0%のシステムを作ることはできません

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ほりごたつ
もちろんバグは出さないようにやってるけど。。

バグが起こらないように

検討に検討を重ね、しっかり深堀をして考えることが求められるのですが、

それでも

ちょっとした検討漏れ

ちょっとした確認不足

システムはバグを出してしまいます。

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ほりごたつ
人間がつくるものだからね。。

AIも然り。

このことからも、

一気にAIにすべてを委ねるようにはならないと言えます。

10年後でもまだ

段階的な導入が各領域で行われるにとどまるんじゃないかなぁ

というのが私の感想です。

判断は停止させてはいけない

この小説から考えさせられることは

「判断停止の恐ろしさ」です。

 

個人的に印象に残ったのが

「AIが撃てと言ったので」と言って拳銃の引き金を引く警察官の姿。

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ほりごたつ
AIに支配されてる。。

AIに任せられる範疇を超えて

AIにすべてを委ね、そしてAIが「絶対」だと信じ込む。

完全に判断が停止していますよね。

 

判断することには責任が伴います。

自分の判断ミスで問題が発生したら、

その責任は自分が負うことになります。

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ほりごたつ
だからといってAIにすべてを任せると。。

「AIのせいだ」といって責任逃れをするような世の中が

いかに危険で、いかに脆いか。

 

この小説でAIは何者かに暴走させられてしまっているのですが、

犯人はなぜAIを暴走させたのか。

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ほりごたつ
気になる。。

犯人の考え方や倫理観を通して、

これからAIがどんどん重要な役割を占めてくるであろう日本で

どうAIと関わっていくべきかを改めて見直すべきだと思いましたね。

来年の映画公開を前に、みなさんもぜひ読んでみてください!

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